40分×8コマ/1日、授業多い ~小学3年生と学ぶ1日@ケニア~
みなさん、こんにちは!りょうやです。
最近のナイロビは暑い。日差しが強い。
順調に日焼けしてるから、帰国したら浮く。
ぷかぷか。
前の記事でも言ったけど、僕は教育学部の教員養成課程で学ぶ学生だ。
前の記事?って人はこちらをチェケラ↓
だから、海外の学校の雰囲気や授業はどんな感じなんだろうかと思い、渡航する度にその国の小学校に訪問して授業を見させてもらったり、先生方にインタビューさせていただいている。
今回は、ケニアの小学校にお邪魔してきました。
というわけで、
記念すべき第10稿、ケニアの小学校レポです。
「はじまり~」
6歳から始まる初等教育8年、中等教育4年、高等教育4年の8・4・4年制。
初等教育8年間が義務教育期間であり、名目上は無償。
ただ、施設費や寄付として学校にお金はいくらか払わなくてはいけない。
「何が無償だよ!!」
ってケニア人の友人は言ってた。
学校が開校している年度期間は1月~11月くらいまで。
ざっくりこんな感じ、ケニアの教育制度。
公立学校、私立学校があり、学区制もないから行きたい学校に行ける。
資金が豊富な学校は教育設備や環境が整っているのに対し、そうでない学校も多々。
特に都市部、農村部間の学校格差が大きくなってしまっているというのが現状。
ここらへんの事情は、他の途上国にも共通していえることだ。
今回訪問させていただいたのは、ナイロビ市内にある私立小学校(幼稚園も併設)
「公立より私立のほうが訪問のハードルが低いぞ」
という同居人のアドバイスと徒歩10分という家からの圧倒的近さがこの学校を選んだ理由。
通っている児童の雰囲気から見るに、この学校に通う児童の親御さんたちは、ある程度お金のある人たちだ。
この学校は“資金が豊富にある学校”の1つだろう。
校門にたつ警備員さんに事情を説明し校内に入って、秘書さんや校長先生にも訪問の趣旨を説明。
快く快諾してくれて、無事訪問開始。
学校が休業期間に入るまでの間、週2~3程度で授業授業観察、先生方へのインタビューをする。
つもりだった。
つもりだったのに、、
まあ、これはあとで分かること。
anyway途上国の学校は基本こんな感じでちゃんと説明すれば、受け入れてくれるのでありがたい。
※今回はちゃんと資料を作成した、(笑)
最初の授業観察場所として選んだのは3年生のクラス。
理由は僕自身が教育実習で3年生を担当していたから。
「授業がはじまる前の気づき」
机の配置、先生が立つ場所、部屋の大きさ、教室の中は日本とほぼ同じ。
違いといえば、黒板がホワイトボードなのとケニアの国旗が掲げられていること、教室内に時計が無いこと。加えて教室中に貼られている英語で書かれた掲示物くらいだ。
体の部位の名称や発音表。
動詞の原形・過去形、反対語の組み合わせ。
字から察するに、すべて児童が書いたもののようだ。
なるほど。
教授言語は原則、英語。
これはもちろん、すべての教科。
その甲斐あってか、小学3年生の英語力は大したものだった。
さすがにみんながみんなペラペラというわけではないし、自信なさげにしている子もいる。
ただ、英語というものに大きな違和感を感じているようにも見えない。
あとから教師をやっている友人に聞いたことだが、彼曰く
「英語をまともにしゃべれる子どもたちはそれ相応の親の元、それ相応の学校へ通っている。俺が教師をやっていた田舎町では英語、スワヒリ語、母語の3種類を駆使していたよ。すべての教科を英語で教えるのは正直言って困難だった。」
らしい。
たしかに、都市部に住む彼の8歳の甥っ子と会った時、彼は英語で僕に話しかけてきた。
びびった。
母語というのは彼ら自身が所属する民族が使う言葉ということだ。
ケニアには43の民族があり、その数には及ばずとも多くの言語が存在している。
つまり、ケニアのちゃんと教育を受けることができた人達は、3言語以上話すことができるというわけ。
インドでも感じたけど、日本では馴染みのないことだろう。
同じ国の人と会話する際に、英語を用いることがある。
さらには、英語・スワヒリ語・民族語がごちゃまぜになった混合言語なんてのもあるから、おもしろい。
さあさ、学校に戻ろう。
休み時間になると全校の児童が俺に会うためにやってくる。
人気者状態。
500人くらいいる児童が俺を目当てにやってくる。
なんて気持ちのいいことなんだ。
握手を求めてくる児童に対応してやると、とびきりの笑顔を見せて喜んでくれる。
勘違いをするには申し分のない環境だ。
(笑)
寄り道が甚だしいな。
授業に入る。
「授業」
1コマ40分が授業時間だ。1時間目は8時30分から。
英語 |
算数 |
10分休み |
体育 |
Teatime(20分休み) |
理科 |
英語 |
昼休み |
算数 |
社会 |
これが、訪問した日のスケジュール。
休み時間以外、基本授業間の休憩はない。
教科担任制なので、教師が入れ替わるように入ってきて、出ていく。
1時間目:英語 「接続詞」
〇授業進行
1.導入 前回までの授業内容の確認から入る。英語の接続詞を一通り言わせ復習。すんなりすべて出てこなかったため、隣の席の児童とペアワーク実施。10分間ほどディスカッションさせたあと、発表させる。 |
2.本授業の内容 「And」という接続詞の活用法の授業。3~4人のグループをつくり文を創作させる、その後代表者が前に出て発表。それに対し、他の児童が意見するというスタイル。 |
3.まとめ 授業で学んだことを3段落のショートポエムにまとめる活動を行う。 |
・児童が解答する際、挙手制なのは日本と同じ。
・児童の発言に対して、同意するならクラップ1回、すばらしいと思った時はクラップ数回と合言葉みたいな決まり事がある。声出しや盛り上げ的な意味も含まれてる。
・教科書はあるが、基本授業中は使用していない。
〇児童の活動
・「And」という接続詞を使った文を5つつくるという活動を3~4人で行う。
・グループで考えた5つの文を代表者が発表。
〇教師の様子
・ホワイトボードは縦に3分割し、真ん中→児童から見て右側→左側の順で使用。
・グループ活動時は机間巡視。
・前に出て発表する声が小さい時は教室の一番後ろに行き、大きな声で発表させる。(あえて離れる)
・指示、フィードバックもすべて英語。
・児童の授業態度に関する指摘(姿勢など)は少なめ。
〇児童の様子
・全体的に落ち着いて授業を受けている印象。だが、時間が経つにつれだれてくる。
・グループ活動の際も男女関係なく、交流し活動できている。
・ポケットを手に突っ込んで発表する子もいるが、許容されていた。
・賛成、反対ははっきり主張できる。
2時間目:算数 「時計の読み方」
〇授業進行
1.導入 前回の復習はなさそうだ。1時間は何分という簡単な質問から入る。 |
2.本授業の内容 時計盤の数字は5分区切りという説明。ホワイトボード上に時計盤を書き、「これは何時?」という質問を出す。児童は挙手して解答、それに対し他の児童が反応、教師が丸つけという流れ。 |
3.まとめ 教科書に載っている時間に関する問題を解かせる。(児童の個人作業) |
・児童の様子を見ながらというよりは、教師のペースで進んでいく。
・教科書に沿った授業展開。
・前の授業と同じく、発表は挙手制。
〇教師の様子
・5分ほど遅刻して登場。
・ホワイトボード上に残った前の授業の内容を消してから授業スタート。ホワイトボードを消すのは次の授業の先生の仕事みたいだ。
・ホワイトボードは縦に3分割し、真ん中→児童から見て右側→左側の順で使用。
・教科書をしきりに確認しながら授業を展開。
・児童の授業態度に対する指摘はほぼない。
〇児童の活動
・ホワイトボード上に書かれた問題を挙手して解答。
・教科書の問題を解き、できた人から教師に持っていき確認。間違っていたら、ホワイトボード上に書かれた時計で確認。
〇児童の様子
・終始ざわざわしていた。
・手持ち無沙汰でめっちゃひまそう。
3時間目:スワヒリ語 「短編を読む」
〇授業進行
1.導入 事前に児童が提出していた宿題を返却後、教科書を教師・児童の全員で音読。 |
2.本授業の内容 3人~4人のグループに分かれる。音読した内容に関するクイズ(教科書に記載)を出し、グループワークで考えさせる。できたグループから挙手で教師を呼び、丸つけ。 |
3.まとめ クイズの答えを全体で確認。先生が再び教科書を音読。 |
〇教師の様子
・ノートを配るのがめっちゃ雑。もはや投げてる、(笑)
・ホワイトボードは縦に3分割し、真ん中→児童から見て右側→左側の順で使用。
・それぞれの児童に対する細かい指示や指導はない。
・遊んでいて目に余る児童には、ペンで頭をたたく。児童は後ろで腕を組み、もういたずらはしません?の合図、(笑)
〇児童の活動
・教科書の音読。
・3~4人に分かれ、グループワークでクイズを解く。
〇児童の様子
・音読の際の姿勢は様々。頬杖をつく者、椅子に浅く座り踏ん反りかえる者、壁に寄りかかる者もいる。
・突っ伏して寝てる子もいた。
「突然の訪問終了」
こんな感じで授業観察をしていたところで、急に校長に呼ばれた。
この後のことは簡単でいいかな。
やっぱりちゃんとした許可が必要だと思うから教育省から許可証をもらってきてほしいと言われ、すぐに教育省に出向き申請するも即却下。基本、そんな許可は誰にも出しませんと。
ほう。
その後、いくつかの学校に出向くも同様の理由で断られ、そうこうするうちに学校は長期休暇に入ってしまい。
小学校訪問はあっけなく終了、(笑)
まあ、教師の友達はできたから話は聞けそうだけど、少し残念だ。
小学校訪問、、、
1校、しかも1クラスのほんの少しの授業しか見られなかったから、なんとも言い難い。
ただ、率直な感想を言えば、授業自体は練られてないなという印象。
指導案を見ながら、教師に詳しく聞きたいとこだ。
あと、規律をあまり感じない。
日本が厳し過ぎるのか。どうなんだろうね。
いくつか参考になるものはあった。例えば、英語の浸透度とか。
これだから、他国の教育現場を見るのはおもしろい。
輸入も輸出もできそうだ。
良いと思ったところを吸い取って、現場に合うようにカスタマイズする。
別に世界基準をすべてに導入する必要なんてないんだよね。
他はあくまで参考。何が必要かを考えて自国流の教育を作っていく。
おもろ。
そういえば、ケニアの学校は基本制服なんだけど、アクセサリーの着用は基本自由らしい。
ピアスをしたり、ブレスレットを付けた小学生もたくさんいた。
「ケニアの学校は装飾品に対し寛容的だね、日本の学校では禁止されてるよ」
と友人に話したら、
「逆になんで禁止する必要があるんだ?(笑)」
と言われた。
なんでなんだろ、(笑)
とりあえず、
「装飾品を付けている児童・生徒は日本の学校にとって、最大の危険因子なんだ」
と説明しといた。
めっちゃ笑ってた、(笑)
なわけ。